従業員1〜30名の法人向け

役員1人だけの法人でも社会保険は必要なの?

法人成りしたばかりの社長が迷いやすい「強制適用」のルールCORPORATE SOCIAL INSURANCE

社長(代表取締役)1人だけの法人であっても、会社から「役員報酬」が支払われていれば、原則として社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が法律で義務付けられています。従業員がゼロでも法人は「強制適用事業所」となるため、法人設立から5日以内に年金事務所への届出が必要です。

こんにちは。アプト社会保険労務士事務所の氏家です。
「会社を作ったばかりで、社長の私1人しかいないんですが、社会保険に入らないとダメですか?」——法人成りされた社長さんから、本当によくいただくご相談です。従業員がいないなら、個人の国民年金や国民健康保険のままでもいいような気がしてしまいますよね。
しかし、結論から言うと、法人であれば社長1人でも社会保険の加入義務があります。これを後回しにしてしまうと、あとから大変なことになりかねません。今日は、役員1人の会社における社会保険のルールを一緒に確認していきましょう。

社長1人だけの会社でも社会保険に入らないとダメ?

はい、加入義務があります。法人の場合、従業員の人数に関わらず、設立した時点で社会保険の「強制適用事業所」となります。

個人事業主の場合は、業種や従業員数によって社会保険に加入しなくてもよいケースがありますが、法人の場合はルールが全く異なります。株式会社や合同会社などの「法人」として登記された会社は、社長1人だけであっても、法律上すべて社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければならない「強制適用事業所」として扱われるんです[cite: 7]。

パートやアルバイトしかいなくても加入するの?

はい。社長自身が役員報酬を受けていれば、パートスタッフが加入要件を満たしていなくても、会社として適用事業所になり、社長1人分だけでも加入が必要です。

「うちは自分以外、週2日勤務のパートさんしかいないから社会保険は関係ないよね」と誤解されている会社さんも多いです。従業員さんが社会保険の加入条件(労働時間など)を満たしていなくても、代表者である社長自身が会社から役員報酬をもらっている時点で、社長ご自身の加入手続きが必要になります。会社を「適用事業所」として登録し、社長を「被保険者」にするという二段構えの手続きになります。

役員報酬がゼロ(無報酬)の場合はどうなる?

役員報酬が全く支払われていない(無報酬の)場合は、社会保険料を計算するベースがないため、社会保険に加入することはできません。

社会保険料は、毎月支払われるお給料(役員報酬)の額をもとに計算されます。そのため、設立直後などで「当面は役員報酬ゼロでいく」と決めている場合は、保険料の計算ができないため、社長個人の社会保険加入はできません。この期間は、ご自身でお住まいの市区町村の国民健康保険と国民年金に加入し続けることになります。
ただし、後日「やっぱり来月から役員報酬を毎月10万円出すことにした」となった時点で、速やかに社会保険への加入手続きが必要になるので注意してくださいね。

加入しないとどうなるの?(罰則はある?)

年金事務所から加入を促す案内が届き、無視し続けると過去(最大2年)にさかのぼって強制加入させられ、多額の保険料を一括請求されるリスクがあります。

法人登記のデータは年金事務所と連携されているため、会社を作ると間もなく「社会保険の加入手続きはお済みですか?」というお知らせが届きます。加入義務があるのに放置していると、年金事務所による立ち入り調査が行われることがあります。調査の結果、悪質とみなされた場合は、最大2年前にさかのぼって保険料が徴収されるケースも。罰則の定めもあります[cite: 7]。あとから何百万円も一括請求されて資金繰りがショートしてしまう…なんてことにならないよう、正しいタイミングでの手続きが大切です。

加入手続きはいつまでに、どこでするの?

事実発生(会社設立や、役員報酬の支給開始)から5日以内に、管轄の年金事務所へ「新規適用届」などの必要書類を提出します。

法人を設立し、役員報酬を支払い始めたら、管轄の年金事務所へ手続きを行います。必要な主な書類は「新規適用届」と「被保険者資格取得届」の2つです。
「設立の準備でバタバタしていて、5日以内なんてとても無理だった…」と焦りますよね。お気持ちは本当によく分かります。期限を過ぎてしまったからといって手続きができなくなるわけではありません。気付いた時点で、1日も早く提出するようにしてください。

今日やることチェックリスト

法人設立後、または役員報酬を出し始めたタイミングで、手続き漏れがないか確認しましょう。

  • 自社が社会保険の「適用事業所」として年金事務所に登録されているか確認する
  • 社長自身の役員報酬額をもとに、社会保険の加入手続き(資格取得届)が済んでいるか確認する
  • 役員報酬が「ゼロ」から「支給あり」に変更になる月があれば、その月での手続きをスケジュールに入れる
  • 年金事務所から届いた未開封の封筒や案内状がないか、手元をもう一度チェックする

よくある質問

合同会社でも加入義務は同じですか?

はい、同じです。株式会社でも合同会社でも、法人として登記されていれば、原則として社会保険の強制適用事業所になります。

役員報酬が月額5万円など少額でも加入しますか?

はい。報酬が出ている以上、原則として加入対象になります。社会保険料を計算する等級には下限が設定されているため、実際の報酬額が下限より低くても、最低等級にあてはめて保険料を納めることになります。

国民健康保険のままでいることはできますか?

できません。法人から報酬を受ける役員は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が法律で義務付けられており、個人の都合で「国民健康保険のままがいい」と選ぶことはできない仕組みになっています。

家族を役員にしている場合、その家族も加入しますか?

実態として経営・業務に携わっており、法人から定期的に役員報酬を受けているのであれば加入義務が生じます。名義だけで一切の業務を行っておらず無報酬であるような場合は、加入対象にはなりません。

まとめ:法人成りしたら社会保険はセットで考えよう

法人である以上、社長1人でも役員報酬があれば社会保険の加入は必須です。設立時や報酬決定時に、必ずセットで手続きを済ませましょう。

会社を作った直後は、事業を軌道に乗せることで頭がいっぱいで、社会保険のことまで気が回らないことも多いですよね。でも、「法人=社会保険の加入義務がある」という大原則だけは、ぜひ覚えておいてください。一つずつで大丈夫です。もし不安なことがあれば、いつでもご相談くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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出典・参考(一次情報)

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※本記事は2026年10月17日時点の法令・公表情報に基づいています。個別の判断は専門家にご確認ください。

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