従業員1〜30名の法人向け

「パートさんにも健康診断って必要?」——実は、会社の義務です

対象になる人・費用の負担・受けたがらない人への対応まで

EMPLOYEE HEALTH CHECKUP

会社には、雇入れ時と年1回の定期健康診断を「常時使用する労働者」に受けさせる義務があります(労働安全衛生法)。従業員数による免除はなく、1人でも雇っていれば対象です。週の労働時間が正社員の4分の3以上のパートも含まれます。費用は会社負担で、実施しないこと自体が法違反になります。

こんにちは。アプト社会保険労務士事務所の社会保険労務士、氏家です。
「10人もいない会社だから、健康診断まではちょっと…」というお声、よく伺います。お気持ちは分かるのですが、実は健康診断の義務に会社の規模による例外はないんです。今日は、誰が対象で、費用と時間をどう扱って、受けたがらない従業員さんにどう向き合うか——このあたりを、まるっと整理しますね。

会社の健康診断は義務?何人からの話?

義務です。労働安全衛生法により、雇入れ時の健康診断と年1回の定期健康診断を実施する義務が事業者にあり、従業員数による免除はありません。

まず押さえたい一般健康診断は、この2つです。

小規模法人が必ず押さえる一般健康診断
種類タイミングポイント
雇入れ時健康診断雇入れの際入社前3か月以内に本人が受けた健診の結果を提出すれば、その項目は省略できる
定期健康診断1年以内ごとに1回全対象者に毎年実施。時期は会社で決めてよい

このほか、深夜業など特定の業務に就く方への配置替え時・6か月ごとの健診や、有害業務の特殊健康診断など、お仕事の内容によって追加の健診が必要になる場合もあります。

パート・アルバイトも対象になる?

契約期間が1年以上(見込み・更新含む)で、週の労働時間が正社員の4分の3以上のパートは対象です。4分の3未満でも2分の1以上なら実施が望ましいとされています。

「常時使用する労働者」かどうかは、①契約期間(無期、または1年以上の有期・更新見込み)と、②週所定労働時間(同種業務の正社員の4分の3以上)の2つで判定します。呼び名が「アルバイト」でも、週5日フルタイムに近い働き方なら対象、と考えてくださいね。

社会保険の加入基準(4分の3基準)と考え方がよく似ています。「社会保険に入れているパートさん=健診も対象」と整理しておくと、実務で漏れにくくなりますよ。

費用と受診時間の賃金は誰が負担する?

健診費用は会社負担です。受診時間の賃金は、定期健診などの一般健診では支払うことが望ましいとされ、有害業務の特殊健診では労働時間として支払いが必要です。

健康診断は法律で会社に義務付けられたものなので、費用を従業員さんに負担させることはできないと解されています。「受けたい人は自費でどうぞ」——この運用は誤りです。

受診にかかる時間のお給料はどうでしょう。一般健診については労使の話し合いに委ねられていますが、スムーズに受けてもらうために支払うことが望ましい、という扱いです。実務では、所定労働時間内に受診してもらって通常どおり賃金を支払う会社が多数派。受診率のことを考えても、私はこの運用をおすすめしています。

受けたがらない従業員がいたら?

従業員の側にも受診義務があります。会社指定の健診を拒む場合は、他の医師による健診結果の提出でも代えられることを案内しつつ、業務命令として受診を求め、経過を記録します。

「健康のことは個人の自由でしょう?」と言われることもあるのですが、労働安全衛生法は、会社の実施義務とあわせて労働者の受診義務も定めています。会社が指定した医師がいやなら、別の医師で受けて結果の証明書を会社に出す、という選択もできます(医師選択の自由)。

それでも受けない方には、①制度と義務の説明、②書面での受診命令、③就業規則に基づく対応の検討——と段階を踏んで、それぞれ記録を残してください。健診を受けさせないまま健康障害が起きたとき、安全配慮義務を問われるのは会社の側なんです。

健診の後にやるべきことは?

結果の本人通知、健康診断個人票の作成と5年間の保存、異常所見者についての医師からの意見聴取と就業上の措置までが会社の義務です。

「受けさせて終わり」ではないんです。健診後の流れはこちら。

  1. 結果を本人に通知する(全員)
  2. 健康診断個人票を作成して、5年間保存する
  3. 異常の所見がある方について、医師(地域産業保健センターなどを活用できます)から意見を聴く
  4. 必要に応じて、労働時間の短縮や作業の変更などの就業上の措置を行う

常時50人以上の事業場になると、定期健康診断結果報告書の労働基準監督署への提出や産業医の選任といった義務が加わりますが、50人未満なら報告義務はありません(実施義務はあります)。50人未満の会社の「医師から意見を聴く」には、無料で使える地域産業保健センターがとても便利ですよ。

今日やることチェックリスト

「対象者リスト」と「最後に受けた日」を並べるだけで、自社の抜け漏れが見えてきます。

  • 全従業員の週所定労働時間と契約期間から、健診の対象者リストを作る
  • 各人が最後に定期健診を受けた日を確認し、1年を超えている人を洗い出す
  • 今年度の健診の実施時期と受診機関(協会けんぽの生活習慣病予防健診の活用含む)を決める
  • 健康診断個人票の保存場所と、見られる担当者を決める
  • 入社時の案内に「入社前3か月以内の健診結果があれば提出」の一文を加える

よくある質問

健診結果を会社が見てもいいのですか?

会社は事後措置の義務を果たすために結果を把握する必要があり、見ること自体は前提とされています。ただしとてもデリケートな健康情報なので、取り扱う担当者を限定して、目的外に使わない、他の従業員に漏らさない、という管理が必須です。取り扱いルールを一度文書にしておくことをおすすめします。

社長や役員にも受けさせる義務がありますか?

労働者ではない役員の方は、法律上の実施義務の対象外です。ただし、従業員として業務にも従事する兼務役員の方は対象になります。そして義務の有無にかかわらず、小規模法人では経営者の健康がそのまま事業のリスク。従業員さんと同じタイミングで受けることを、心からおすすめします。

費用を抑える方法はありますか?

協会けんぽの加入事業所なら、35歳以上の従業員などを対象に生活習慣病予防健診の費用補助が受けられて、法定の定期健診より充実した内容を割安で実施できます。自治体の健診助成が使えることもあるので、受診機関を決める前に確認してみてくださいね。

入社したばかりの人にも、すぐ定期健診が必要ですか?

雇入れ時健診を実施していれば、その後1年以内に定期健診の時期が来たら受けてもらう、というサイクルで大丈夫です。入社前3か月以内にご本人が受けた健診結果の提出があれば、雇入れ時健診の該当項目は省略できます。

まとめ:規模の例外なし。「対象者×最終受診日」で管理する

健康診断は1人でも雇えば会社の義務で、費用は会社負担です。対象者リストと最終受診日の一覧を作れば、管理はぐっとシンプルになります。

健診は義務であると同時に、従業員さんの不調を早めに拾ってあげられる仕組みでもあります。少人数の会社ほど、1人の長期離脱の影響は大きいもの。年1回の健診を「会社を守る投資」として、ぜひ定着させてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

健診の実務、まるごと相談できます

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アプト社会保険労務士事務所(千代田区)/給与計算・入退社手続き・就業規則・人事労務相談 監修:★監修者名★(社会保険労務士)
※本記事は2026年9月13日時点の法令・公表情報に基づいています。個別の判断は必ず専門家にご確認ください。

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