【社労士監修】退職勧奨の「適切なトーク」とは?違法にならない進め方とNGワード集
「パフォーマンスの低い社員に、円満に退職してもらいたい…」「退職勧奨のつもりが、退職強要だと訴えられないか不安…」
経営者にとって、従業員の雇用問題は非常にデリケートで難しい課題です。「退職勧漿」は、あくまで従業員の合意を得て雇用契約を終了する手段ですが、その進め方や言葉選びを誤ると、不法行為として損害賠償を請求されるリスクがあります。
大前提:「退職勧奨」と違法な「退職強要」は紙一重
まず、この二つの違いを明確に理解しましょう。
- 退職勧奨(適法): 会社が従業員に退職を「お願い」し、従業員が自由に意思決定できる状態。従業員は断ることができる。
- 退職強要(違法): 従業員が断っているにも関わらず、執拗に面談を繰り返したり、侮辱的な言葉を投げかけたりして、自由な意思決定を妨げる行為。
裁判所は、従業員の「自由な意思」が尊重されていたかを厳しく判断します。面談の進め方こそが、適法と違法の分かれ目なのです。
トラブルを避ける!退職勧奨面談の5ステップ
- 準備: 対象従業員の具体的な問題点(客観的なデータ、指導記録など)を整理する。面談のゴール(合意退職)と条件(退職日、特別退職金など)を決めておく。
- 場所と時間の設定: 他の従業員に聞かれない静かな会議室などを設定する。時間は長くても30分~1時間程度とし、相手を疲弊させない。
- 切り出し方: まずは本人の業務状況についてヒアリングし、会社として期待する水準に達していないことを客観的な事実に基づいて伝える。
- 退職の提案: 「解雇」ではなく、あくまで「選択肢の一つ」として退職を提案する。「会社として今後の君のキャリアを考えた上で、新しい環境で再出発するという選択肢もあるのではないか」など、相手の将来を気遣う姿勢を見せる。
- 結論を急かさない: その場で結論を出すよう迫ってはいけません。「一度持ち帰って、ご家族とも相談してみてください」と伝え、考える時間を与えることが重要です。
【具体例】言ってはいけないNGワード集
これらの言葉は、退職強要と判断されるリスクが非常に高いです。絶対に避けましょう。
絶対NG!退職強要とみなされる言葉
- 「君が辞めないと、他の社員が迷惑するんだ」
- 「ここにいても、君にやらせる仕事はないよ」
- 「この退職届にサインするまで、ここから出さない」
- 「能力がないんだから、辞めるのが会社のためだ」
- 「解雇になったら、次の転職で不利になるよ?」
OK!適切な伝え方のポイント
- 客観的な事実(例:「先月の営業成績が目標の50%だった」)に基づいて話す。
- 「お願い」「提案」というスタンスを崩さない。
- 相手の人格ではなく、あくまで「会社と本人の方向性のミスマッチ」を伝える。
- 退職する場合の条件(特別退職金、有給休暇の消化、再就職支援など)を提示し、相手のメリットも示す。
まとめ:デリケートな問題こそ、実行前に専門家へ
退職勧奨は、法的なリスク管理が最も重要な労務管理の一つです。万が一、従業員との間でトラブルに発展した場合、会社の評判や他の従業員の士気にも悪影響を及ぼしかねません。
少しでも進め方に不安がある場合は、自己判断で進める前に、必ず私たちのような労務の専門家にご相談ください。客観的な状況分析から、適切な面談の進め方、書面の準備まで、トータルでサポートいたします。