36協定とは?知らないと危険な理由を3分で解説

36協定(サブロク協定)とは、法律で定められた労働時間を超えて従業員に残業や休日労働をさせるために必要な労使間の協定です。2025年現在、この協定の重要性はかつてなく高まっています。ルールを正しく理解・運用しないと、罰則や企業名公表といった深刻なリスクに繋がる可能性があります。本記事で基本を理解し、自社の労務管理体制を見直すきっかけにしてください。

36協定の仕組みを解説する図解イメージ

そもそも36協定(サブロク協定)とは?

36協定は、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定書」と言い、労働基準法第36条に基づいていることから、通称「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

日本の法律(労働基準法)では、労働時間は原則として「1日8時間・1週40時間」までと定められています(法定労働時間)。この法定労働時間を超えて従業員に時間外労働(残業)をさせたり、法定休日に労働させたりする場合には、必ずこの36協定を労働者の代表と結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。これなくして残業をさせることは、法律違反となります。

なぜ今、36協定がこれほど重要なのか?【2025年の最新動向】

近年、36協定を巡る状況は大きく変化しており、企業にとってその重要性は増すばかりです。特に重要なポイントは2つあります。

1. 働き方改革による「上限規制」の厳格化

2019年から順次施行された働き方改革関連法により、それまで事実上青天井だった残業時間に、罰則付きの法律上の上限が設けられました。これにより、単に協定を結ぶだけでなく、その内容を遵守することがより厳しく求められるようになりました。

  • 原則の上限: 月45時間・年360時間
  • 特別条項(臨時的な特別な事情がある場合)の上限:
    • 年720時間以内
    • 複数月平均80時間以内(休日労働含む)
    • 月100時間未満(休日労働含む)

2024年からは建設業、運送業、医師にもこの上限規制が適用され、すべての企業がこのルールへの対応を迫られています。

2. 労働基準監督署のチェック体制の強化

2025年以降、36協定の届出プロセスは電子化で簡素化されました。しかし、それは単なる利便性向上ではありません。行政(労働基準監督署)は、手続きの簡素化と引き換えに、協定の「中身」が実態に即しているか、適正な手続きで結ばれているかといった「実質的な有効性」に対する監視を強めています。形式だけの「形骸化した協定」は、無効と判断されるリスクが高まっています。

知らないと怖い!36協定違反がもたらす3つの経営リスク

  1. 法律による罰則: 違反した場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
  2. 企業名の公表: 悪質なケースと判断されると、厚生労働省のウェブサイトなどで企業名が公表され、社会的な信用(レピュテーション)を大きく損ないます。
  3. 未払い残業代の請求: そもそも有効な36協定がなければ、時間外労働そのものが違法です。従業員から過去に遡って未払い残業代を請求される訴訟リスクに発展する可能性があります。

これらのリスクを回避するためにも、まずは自社の36協定が正しく締結・運用されているかを確認することが不可欠です。具体的な対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1: 36協定は、すべての会社で必要ですか?

A1: 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて従業員に時間外労働をさせる可能性が少しでもある場合は、すべての企業で必要です。パートやアルバイトも対象に含まれます。

Q2: 36協定を結べば、いくらでも残業させられますか?

A2: いいえ、できません。法律で定められた上限時間(原則月45時間・年360時間、特別条項を適用しても年720時間など)を超えることはできません。上限を超えた場合は法律違反となります。

Q3: 従業員の代表者は誰でもいいのですか?

A3: いいえ、誰でもいいわけではありません。管理監督者(部長や工場長など経営者と一体的な立場にある人)は代表者になれません。また、会社が一方的に指名するのではなく、投票や挙手といった民主的な方法で選出された労働者の過半数を代表する者である必要があります。

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