【2025年4月施行】育児・介護休業法の大改正!企業が今すぐ準備すべき5つのポイント
2025年4月、育児・介護休業法が大きく変わります。この改正は、単なる休暇制度の変更ではありません。少子高齢化に対応し、男女ともに仕事と家庭を両立できる社会を目指すための、企業の「両立支援体制」そのものを根本から問い直すものです。
「法律が変わってから対応すればいい」では手遅れに。本記事では、今回の法改正で特に重要なポイントを5つに絞り、企業が今すぐ何をすべきかを具体的に解説します。
ここが変わる!育児・介護休業法 改正のポイント
今回の改正は多岐にわたりますが、特に実務への影響が大きい項目をタブで確認しましょう。
対象年齢と取得事由が大幅に拡大!
子の看護・世話をするための「子の看護等休暇」が、より使いやすくなります。
- 対象年齢:「小学校就学前」→「小学校3年生修了まで」に拡大。
- 取得事由:従来の病気・怪我に加え、予防接種や健康診断、さらには入園・入学式などの行事参加も対象に。
- 対象者:労使協定による「入社6ヶ月未満の労働者」の除外が廃止されます。
【企業の対応】就業規則の改定、勤怠管理システムの設定変更、全従業員への周知が必須です。
残業が当たり前の職場は要注意!
労働者からの申し出により残業を免除する「所定外労働の制限」制度の対象が拡大します。
- 対象となる子の年齢:「3歳未満」→「小学校就学前まで」に拡大。
【企業の対応】残業ありきの業務プロセスを見直し、代替人員の確保や業務の標準化、多能工化を進める必要があります。管理職への教育も不可欠です。
【最重要】企業に新たな「義務」が発生!
3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対し、企業は以下の選択肢から「2つ以上」の制度を導入し、労働者が選べるようにする義務を負います。
- 始業時刻等の変更(時差出勤、フレックスタイム制など)
- テレワーク
- 事業所内保育施設の設置運営等
- 新たな休暇の付与(子の看護等休暇とは別に年10日以上)
- 短時間勤務制度
【企業の対応】自社で導入可能な制度を検討・選択し、就業規則への明記と具体的な制度設計が急務です。テレワーク規程の整備や、情報セキュリティ対策も合わせて進めましょう。
あなたの会社は対応できる?今すぐ始めるべきアクションプラン
法改正は、企業の「働き方改革」を加速させる絶好の機会です。以下の2つの視点で準備を進めましょう。
ポイント4:制度の整備と就業規則への反映
法改正に対応するため、まずは自社の制度を整備し、それを就業規則に明記する必要があります。
- 現状分析:現在の両立支援制度を洗い出し、法改正の要求水準とのギャップを把握する。
- 制度設計:「柔軟な働き方の措置義務」に対応するため、どの制度を導入するかを経営層・現場を交えて検討・決定する。
- 就業規則の改定:決定した内容に基づき、就業規則(育児・介護休業規程など)を改定し、労働基準監督署へ届け出る。
ポイント5:コミュニケーションと環境構築
制度を作るだけでは不十分です。従業員が気兼ねなく制度を利用できる風土と、円滑な業務運営を両立する環境が必要です。
- 個別の意向聴取(義務化):妊娠・出産の申し出があった際に、制度を周知するだけでなく、本人の働き方の希望を聴取し、配慮することが新たに義務付けられます。面談フローの確立と記録の保管が必要です。
- 管理職への教育:部下の両立支援が管理職の重要な役割となることを徹底し、ハラスメント防止を含めた研修を実施する。
- 業務プロセスの見直し:特定の社員が休んでも業務が回るよう、業務の標準化、情報共有の仕組み(ITツール活用など)を強化する。
まとめ:両立支援は「コスト」から「戦略的投資」へ
今回の法改正は、企業に「従業員が育児や介護をしながら働き続けられる環境を能動的に構築する」ことを求めています。これは、優秀な人材を惹きつけ、定着させるための重要な経営戦略です。
法改正をコンプライアンス上の「守り」の対応と捉えるだけでなく、多様な人材が活躍できる企業文化を築く「攻め」の機会と捉え、早期に準備を進めましょう。