明日からできる36協定対策5選!具体的なアクションプランと進め方
36協定の重要性は理解していても、「何から手をつければいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。36協定対策の鍵は、①代表者選出の適正化、②協定内容の具体化、③健康確保措置の明記、④勤怠管理の客観化、⑤社内周知の徹底です。本記事では、自社の状況をすぐに確認できるチェックリストと、明日からでも始められる具体的なアクションプランを5つご紹介します。
対策の第一歩!自社の36協定「実用版セルフ監査チェックリスト」
まずは、自社の36協定が法的に有効で、実態に即しているかを確認しましょう。以下の項目に「はい」「いいえ」で答えてみてください。
- 【代表者の選出】代表者は、管理監督者以外の者から、投票や挙手などの民主的な方法で選ばれていますか?
- 【代表者の選出】代表者を選出した際の告知や投票結果などのプロセスは、記録として保管されていますか?
- 【協定内容の具体性】残業が必要な「臨時的な特別の事情」は、「業務の都合」のような抽象的な理由ではなく、具体的(例:決算業務、大規模クレーム対応など)に記載されていますか?
- 【協定内容の具体性】時間外労働を行わせる業務の種類は、具体的に細分化して記載されていますか?
- 【健康・福祉確保措置】上限時間を超えて働く従業員に対し、医師による面接指導や特別休暇の付与といった健康確保措置が具体的に協定され、実施されていますか?
- 【協定書と届出書】労働基準監督署へ提出する「届出書」とは別に、労使の署名・押印がある「協定書」本体をきちんと保管していますか?
- 【上限規制の遵守】実際の残業時間が「月100時間未満」「2~6ヶ月平均80時間以内」といった上限規制内に収まっていることを、リアルタイムで確認できる管理体制がありますか?
「いいえ」が一つでもあった場合は、すぐに対策が必要です。
【明日からできる】具体的なアクションプラン5選
1. 過半数代表者の選出プロセスを見直す・記録する
協定の有効性を左右する最も重要なポイントです。会社が一方的に指名するのは無効です。「36協定の代表者を選出します」と全従業員に告知し、投票や挙手といった民主的な方法で選出しましょう。そして、そのプロセス(告知文、投票用紙、議事録など)は必ず書面で記録し、保管してください。
2. 時間外労働の「理由」と「業務」を具体的に書き直す
特別条項を適用する際の「臨時的な特別の事情」は、誰が見ても納得できる具体的な理由に限定しましょう。「業務の都合上」「繁忙のため」といった曖昧な表現はNGです。「予算編成・決算業務」「ボーナス商戦に伴う大幅な受注増への対応」のように、具体的かつ予測困難な事由を記載します。
3. 最新の勤怠管理システムを導入・活用する
自己申告だけの勤怠管理は、実態との乖離を生みやすく危険です。PCのログオン・ログオフ時刻や入退室記録と連携できる客観的な勤怠管理システムの導入を検討しましょう。上限時間に近づいた従業員や管理者に自動でアラートを出す機能は、コンプライアンス違反を未然に防ぐ上で非常に有効です。
4. 「本社一括届出制度」で管理を効率化する
複数の事業場を持つ企業の場合、2025年から新しくなった「本社一括届出制度」が便利です。これにより、各事業場で協定内容が異なっていても、本社が一括して電子申請できるようになりました。管理部門の負担を大幅に軽減し、届出漏れなどのミスを防ぎます。まずは厚生労働省のポータルサイト「確かめよう 労働条件」を確認してみましょう。
5. 経営層から全社へメッセージを発信する
36協定の遵守は、人事部だけの仕事ではありません。経営トップが「長時間労働を是正し、コンプライアンスを徹底する」という強いメッセージを全社に向けて発信することが不可欠です。それにより、現場の管理職や従業員の意識が変わり、企業文化として定着していきます。
よくある質問(FAQ)
Q1: チェックリストで問題が見つかりました。どこに相談すればいいですか?
A1: まずは顧問の社会保険労務士に相談するのが第一選択です。顧問がいない場合は、地域の社会保険労務士会や、厚生労働省が設置している「働き方改革推進支援センター」などで専門家による無料相談を受けることも可能です。
Q2: 勤怠管理システムは、どのような基準で選べばよいですか?
A2: ①PCログなど客観的な記録と連携できるか、②残業時間の上限規制(単月、複数月平均)を自動で集計・警告してくれるか、③法改正に迅速に対応できるか、といった点を基準に選ぶことをお勧めします。
Q3: 協定書の内容を変更したい場合、どうすればいいですか?
A3: 協定の有効期間中であっても、労使双方の合意があれば内容を変更することは可能です。再度、過半数代表者と協議・合意の上、新しい内容で協定書を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。