初めての就業規則作成!
スタートアップが押さえるべき基本のキ
成長期を迎えるスタートアップ企業様へ。
就業規則作成の基本と、貴社に合ったカスタマイズの重要性をお伝えします。
公開日: 2025年6月19日
1. 就業規則の「絶対」と「相対」のルールを理解する
就業規則を作成する上で、まず理解すべきは「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」です。これらは法律で定められており、どちらをどこまで記載するかによって、貴社の就業規則の完成度が大きく変わってきます。
絶対的記載事項は、就業規則に必ず記載しなければならない項目です。これらが欠けていると、就業規則として不完全とみなされる可能性があります。
- 労働時間に関する事項: 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の場合の就業時転換に関する事項。
- 賃金に関する事項: 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締切り及び支払い時期、昇給に関する事項。
- 退職に関する事項: 退職の事由、解雇の事由。
これらは従業員の働き方の根幹に関わる部分であり、明確に定めることでトラブルを防ぎます。
相対的記載事項は、会社が制度として定める場合に、就業規則に記載する必要がある項目です。これらを定めるかどうかは会社の任意ですが、定める場合は記載が必須です。
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金(賞与など)及び最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品その他負担に関する事項
- 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰及び制裁に関する事項
- その他、全ての労働者に適用されるルール(旅費規程など)
貴社の状況や提供したい福利厚生に応じて、必要な項目を検討しましょう。
2. モデル就業規則だけでは不十分?カスタマイズの重要性
厚生労働省などが公開している「モデル就業規則」は、就業規則作成の出発点として非常に役立ちます。しかし、それをそのまま利用するだけでは、貴社の実情に合わない可能性があります。なぜカスタマイズが重要なのでしょうか?
Q1. モデル就業規則だけだと何が問題?
A1. モデル就業規則はあくまで一般的なひな形であり、特定の企業の実態に合わせて作られていません。そのため、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 実態との乖離: 貴社の労働時間制度、賃金体系、休日休暇の運用などが、モデル規則と合致しない場合、規則が形骸化したり、運用上の矛盾が生じたりします。
- トラブル対応の難しさ: 貴社特有の労務リスク(例:情報漏洩リスクの高い業種)に対する具体的な規定がなければ、いざという時に適切な対応ができません。
- 企業文化の不反映: 会社のビジョンや大切にしたい価値観(例:完全成果主義、チームワーク重視など)が規則に反映されず、従業員のエンゲージメントを高めにくいです。
Q2. 自社に合ったカスタマイズって具体的にどうする?
A2. 貴社に合った就業規則を作成するには、以下のようなポイントでカスタマイズを進めます。
- 事業内容と労働環境の反映: 貴社の業界特有のルール、リモートワークやフレックスタイム制などの導入状況を盛り込みます。
- 賃金規程・評価規程の具体化: 貴社の賃金体系(月給制、年俸制、インセンティブなど)や人事評価制度を具体的に記載します。
- トラブル事例への対策: これまでのトラブル経験や、懸念されるリスクに対する具体的な懲戒規定や服務規律を追加します。
- 従業員へのヒアリング: 従業員の意見を聞き、規則の公平性や納得感を高めることも大切です。
- 社会保険労務士との連携: 法令遵守はもちろん、貴社の「こうしたい」を実現するための条文作成をサポートします。
3. 成長を見据えた柔軟な設計:福利厚生と評価制度
スタートアップの成長フェーズでは、優秀な人材の確保と定着が非常に重要です。就業規則は、そのためのツールとしても活用できます。特に、福利厚生や人事評価制度を柔軟に設計することで、企業の魅力を高めることができます。
スタートアップでは、初期は法定福利厚生が中心になりますが、成長とともに独自の福利厚生を追加検討しましょう。
- 小規模時: 通勤手当、残業手当、有給休暇など、法定義務を確実に遵守。
- 成長期: 住宅手当、資格取得支援、書籍購入補助、健康診断補助など、従業員のエンゲージメントを高める制度を検討。
- 成熟期: 企業型確定拠出年金、慶弔見舞金、リフレッシュ休暇、社員旅行など、より充実した制度で定着率向上を目指す。
就業規則にこれらを明確に記載することで、従業員へのアピールポイントとなります。
評価制度は、従業員のモチベーションと生産性に直結します。就業規則には、評価制度の基本原則を盛り込みましょう。
- 評価の目的と原則: 何のために評価を行うのか、公平性・透明性を担保する原則などを明記。
- 評価期間・評価者: 評価の頻度(例: 年2回)、評価を行う担当者(上長など)を明確化。
- 評価結果の活用: 昇給・昇格、配置転換、能力開発など、評価結果がどのように活用されるかを記載。
- フィードバックと異議申し立て: 評価結果を従業員にフィードバックする機会と、不服がある場合の申し立て方法を定める。
透明性の高い評価制度は、従業員の納得感を高め、会社への信頼を築きます。
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