【罰則回避】36協定の正しい書き方と提出期限2025年版|就業規則との関連も解説
労働基準法を遵守し、未払い残業代リスクを回避するための実践ガイド
はじめに:なぜ今、36協定の見直しが必要なのか?
2024年の労働基準法改正により、時間外労働の上限規制がすべての事業場に適用され、36協定の重要性はかつてないほど高まっています。知らずにいると、罰則の対象となるだけでなく、企業の信用失墜や従業員とのトラブルに繋がる可能性があります。
この記事では、2025年以降に適用される36協定の最新情報から、正しい書き方、提出期限、そして就業規則との連携まで、中小企業の経営者や人事担当者が知るべきポイントを網羅的に解説します。
【重要】2025年版36協定の新様式と主な変更点
2024年の法改正に伴い、36協定の様式も変更されました。特に注意すべきは、「時間外労働・休日労働に関する限度時間」の明確化と、中小企業への上限規制適用です。
新様式のポイントとダウンロード
2025年版の36協定届は、以下の点が特に重要です。
- 特別条項の有無:臨時的な特別の事情がある場合のみ設定可能。
- 延長時間の明確化:時間外労働の上限(月45時間・年360時間)を遵守し、特別条項を設ける場合でも上限(月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内、年720時間)を超えてはならない。
- 休日労働の明記:法定休日における労働時間を明確に記載する。
新様式は厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。 厚生労働省:36協定届の様式ダウンロード
中小企業への上限規制適用と罰則
これまで猶予されていた中小企業にも、時間外労働の上限規制が完全に適用されました。これにより、原則として月45時間、年360時間を超える時間外労働はできません。特別条項を設けた場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内などの上限が適用されます。
違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。これは決して軽視できないリスクです。
36協定の正しい書き方と記入例
36協定届は、労働基準監督署に提出する重要な書類です。正確な記入が求められます。
基本的な記入項目と注意点
- 事業の種類:会社の業種を記載。
- 事業の名称:会社名。
- 事業の所在地:会社の住所。
- 労働者数:対象となる労働者の数。
- 協定の成立年月日:労使で協定が成立した日付。
- 期間:通常1年間を設定。
- 労働時間延長・休日労働をさせる必要のある具体的な事由:「業務の都合上必要な場合」など抽象的ではなく、具体的な理由を記載(例:突発的な受注、決算業務)。
- 業務の種類:残業・休日労働が発生する可能性のある業務を具体的に記載。
- 労働者の数:対象となる労働者の人数。
- 延長することができる時間数:法定の上限(月45時間・年360時間)を超えないように設定。
- 休日労働をさせることができる休日:法定休日(週1日)を特定し、労働させる場合の回数を記載。
特に、延長時間や休日労働の具体的な事由は、実態に即した内容であることが重要です。
特別条項付き36協定の書き方
臨時的な特別の事情により、月45時間・年360時間を超えて時間外労働をさせる必要がある場合に限り、特別条項を設けることができます。この場合でも、以下の上限は絶対に守らなければなりません。
- 年720時間以内
- 複数月平均80時間以内(2~6ヶ月の平均)
- 月100時間未満
特別条項には、具体的な事由(例:大規模なシステムトラブル対応、予期せぬクレーム対応)と、上限を超える時間外労働に対する割増賃金率などを明記する必要があります。
36協定の提出期限と提出方法
36協定届は、協定期間の開始日までに労働基準監督署に提出する必要があります。電子申請も可能です。
提出期限と届出先
- 提出期限:協定期間の開始日まで。遅れて提出した場合でも受理されますが、遡って適用されるわけではないため注意が必要です。
- 届出先:本社所在地を管轄する労働基準監督署。
電子申請のメリットと注意点
電子申請は、オフィスや自宅から手軽に手続きができるため、多くの企業で導入が進んでいます。e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用して申請します。
- メリット::24時間いつでも申請可能、郵送や窓口提出の手間が省ける。
- 注意点:事前に電子証明書の取得やPC環境の設定が必要。操作に慣れるまで時間がかかる場合がある。
詳細はこちらをご覧ください: e-Gov 電子申請
就業規則と36協定の密接な関係
36協定は、就業規則に定める労働時間や休日労働に関する規定と密接に連携している必要があります。
就業規則への記載は必要か?
就業規則には、時間外労働や休日労働に関する基本的な事項を記載する必要があります。36協定は、その基本的な事項を具体的に運用するための「労使協定」であり、就業規則の一部として取り込む場合もあれば、別途運用する場合もあります。
重要なのは、就業規則の規定と36協定の内容が矛盾しないことです。
整合性を保つためのポイント
- 就業規則で定める所定労働時間と、36協定で定める時間外労働の上限時間が整合しているか確認する。
- 休日労働のルールが就業規則と36協定で一致しているか確認する。
- 法改正があった場合は、就業規則と36協定の両方を速やかに見直す。
これらの整合性が取れていないと、労働者からの疑義や、労働基準監督署からの指摘の対象となる可能性があります。
36協定に関するよくある質問 (FAQ)
Q1: 36協定を毎年提出する必要はありますか?
A1: はい、原則として毎年提出する必要があります。36協定の有効期間は通常1年間であるため、期間満了前に更新し、再度労働基準監督署に届け出る必要があります。
Q2: 従業員代表の選出方法に決まりはありますか?
A2: 従業員の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出する必要があります。この代表者は、管理監督者以外の従業員から、投票や挙手などの民主的な方法で選ばれなければなりません。会社側が指名することはできません。
Q3: 未払い残業代が発生した場合、36協定は無効になりますか?
A3: 36協定が有効であっても、実際の労働時間が協定で定めた時間を超えている場合や、正しく賃金が支払われていない場合は、未払い残業代の問題が発生します。36協定は、あくまで時間外労働の「上限」を定めるものであり、実際に働いた時間に対しては適切に賃金を支払う義務があります。
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