社員が心を病み、辞めてしまう前に!「カスハラ」から従業員と会社を守る、経営者の法的義務とは?

こんにちは。社会保険労務士の氏家です。

「お客様は神様だ」という言葉を、いまだに信じている経営者様はいらっしゃいませんか? 顧客からの理不尽な要求や暴言、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」は、今や従業員のメンタルヘルスを破壊し、離職を引き起こす重大な経営リスクです。

そして、この問題を放置することは、法的に「会社の責任」を問われる可能性があることをご存知でしょうか。今回は、カスハラ対策がなぜ経営者の義務なのか、そして何をすべきかを解説します。

なぜ「カスハラ」で会社の責任が問われるのか?

会社には、従業員が安全で健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」という法的な義務があります。これは、職場の物理的な安全だけでなく、精神的な健康も含まれます。

顧客からのハラスメントであっても、会社がそれを予見できたにもかかわらず、従業員を守るための対策を怠った場合、この安全配慮義務違反として、従業員から損害賠償を請求されるリスクがあるのです。裁判所も、この傾向を強めています。

対策1:会社として「カスハラを許さない」方針を内外に示す

まず、経営トップが毅然とした態度を示すことが全ての始まりです。そして、その方針を社内だけでなく、顧客に対しても明確に公表しましょう。

例えば、店舗やウェブサイトに以下のような文言を掲示するだけでも効果があります。

「お客様へのお願い:従業員の人格を否定するような言動、威圧的な言動、その他ハラスメントに該当する行為があった場合、対応をお断りさせていただく場合がございます。」

これにより、従業員は「会社が守ってくれる」という安心感を得られ、悪質な顧客に対しては牽制となります。

対策2:社内マニュアルと相談窓口を整備する

従業員が一人で抱え込まないための仕組みづくりが不可欠です。

  • 対応マニュアルの作成:どのような行為がカスハラにあたるのかを定義し、実際に遭遇した際の対応手順(記録の取り方、上司への報告、警察への通報基準など)を具体的に定めます。
  • 相談窓口の設置:人事部や信頼できる第三者機関など、従業員が安心して相談できる窓口を設けます。
  • 管理職研修の実施:部下から相談を受けた際に、二次被害(「そのくらい我慢しろ」といった発言)を起こさず、適切に対応するための管理職研修は極めて重要です。

対策3:従業員のメンタルヘルスケア

実際にカスハラの被害に遭ってしまった従業員へのケアは、会社の義務です。必要に応じて、カウンセリングを受けられる体制を整えたり、一時的に顧客対応のない部署へ異動させたりするなど、具体的な支援策を準備しておきましょう。

まとめ:従業員を守ることが、会社の未来を守る

カスハラ対策は、単なるクレーム対応ではありません。従業員の尊厳と安全を守り、安心して働ける職場を作るための経営マターです。優秀な人材が理不尽な理由で疲弊し、離職していく損失は、計り知れません。

「何かあってから」では遅すぎます。自社のカスハラ対策は十分か、この機会にぜひ見直してみてください。私たち社労士も、マニュアル作成や研修の実施など、具体的な体制づくりをお手伝いできます。

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